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昼間に満席になる大須の居酒屋『末廣屋』で、自慢の刺身に舌鼓【ラガー大びんの似合う店③】

その他

2017/02/10

名古屋の呑んべえには時間という概念がない。

大須では随一の大衆居酒屋『末廣屋』は、午後3時の開店時間前から平日にも関わらず大勢の客が着席し、開店時間になった頃にはすでに満席という前代未聞の超絶人気店だ。
人々のお目当ては酒のあてにする一品料理、特に刺身が絶品だという。

自慢の味と大須文化の一端を体感するために昼間から酒場へと足を運んだ。多少の後ろめたさを感じながら…。

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大須観音にほど近い場所にある大衆居酒屋「末廣屋」。
まだ日差しが燦々と照りつける時間ながら、格子戸をガラガラと開ける音、そしてそこから漏れ聞こえる賑やかしい声が…。

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例に漏れず年季の入った店内に入ると、時間は15時30分…。

評判通り、店内はもう満杯だ。
雰囲気は飲み始めどころか一番活気づく時間帯のそれである。多少出来上がってしまっているお客さんまでいる。

一見客であるという意味でもスペース的な意味でもやや肩身の狭い思いをしながら、カウンターの一番端の席に着いた。

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カウンターと調理場の間の卓には大皿に盛られた一品料理が並ぶ。
どの料理をオーダーするか目移りせずにはいられない。しかも一品料理は250円程度と非常にリーズナブルだ。

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早速ラガー大びんとともにオーダーしたのは「豚肉煮」だ。
さっぱりと素朴で家庭的な味わい。まだいまいち飲みの時間という認識をしていない体にもすんなり入ってくる。

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次に『あなご煮』。
細切れでちびちびつまむのには持ってこいかもしれない。
甘辛のタレは意外にコクがあり次々と食べ進めてしまう。少量のワサビで味の表情を変えられるのもありがたい。

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そしてこの店の隠れ名物と聞いてオーダーしたのが『うめご』だ。
恥ずかしながらその名を初めて知ったのだが、名古屋で昔から食べられている郷土料理だと説明された。

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上半分は煮こごりだということは想像がつくが、下半分を占める魚肉のようなものが何なのかさっぱりわからない。
女将に聞いてみると、「サメの皮を刻んだもの」だという。
全体的にぷにぷにと柔らかい食感で、醤油を少し垂らしただけでも味が中までよく染みる。
思わぬところでレアな料理に出会ってしまったようだ。

うめごを口にしたところで、いよいよこの店の自慢の海鮮に手を付けたくなってきた。

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最初にオーダーしたのは「ホタテのお造り」だ。
淡黄色の輝きがまぶしい。口に入れるととろけるように柔らかく、どことなくひんやりとする独特の味わい。
ツマにキャベツが使われているのはこの店の伝統らしい。

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そして店の中のほぼ全ての来店客が注文していたのではないかと窺える、名物『マグロの刺身』。
オーダーしてから出てくるまでに多少時間がかかったが、待つだけのことはある一品だということは、出てきた瞬間に判る。
色、厚み、切り揃え方といい、じつに見事だ。

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ふんわりとして、脂が乗って、これはむしろ「中トロ」と呼ぶべき部類のまさしく絶品だ。
マグロに関わらず全てのお造りは一皿600円と、庶民に優しい価格設定。こんなにも大勢の人々が早い時間から待ちたくなる理由も頷ける。

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昼間から酒を飲む事に後ろ指を刺されるかもしれない。
だが、人生とは「頑張り時」と「あきらめ時」の連続だと思うのだ。
人間はフルタイムでは頑張れない。そこには一旦の「あきらめ」が肝心。あきらめとは「解放」であり、そこから生まれてくる力がある。

昼から飲む!と威勢よく踏ん切りをつけてしまえばいい。その日はここに来るといい。
一度暖簾をくぐれば、そこには昼も夜もない、活気ある世界が広がっているのだから。

 

◆取材協力/キリンビール株式会社

MAP

場所 名古屋市中区大須3-16-4
営業時間 15:00〜21:00
定休日 水曜日/日曜日/祝日
※その他不定休あり