美しく燃える森は実在した。瀬戸市の秘境『岩屋堂』の胸を焦がす紅葉の情景

◆ 瀬戸の山深くに佇む「岩屋堂」の歩き方

名古屋から1時間、瀬戸の深い山里の中に「岩屋堂」はあります。
公共交通機関では名鉄瀬戸線「尾張瀬戸」駅から名鉄バス「しなのバスセンター」、そこから瀬戸市コミュニティバスに乗り継いで「岩屋堂」バス停で降車することで行くことができますが、バスの本数が非常に少ないため、車で行くのが無難です。

瀬戸市の中央部の山林を流れる「鳥原川（とりはらがわ）」上流部沿いに見どころとなる公園や滝などが並んでいます。
四季折々さまざまな自然の姿を観ることができ、秋の紅葉以外にも春は桜、初夏は蛍、夏は鳥原川の澄んだ水を使った天然のプールで楽しむことも出来るんですよ。

◆ 岩屋堂の見どころ

岩屋堂は、今から約1300年前の奈良時代・725年に、時の聖武天皇が病に倒れた際、名僧「行基」がこの地で草庵を結び、
岩で出来た祠の中で三体の仏像を彫刻して祈願したとされる地。
川沿いから少し山の方へ上がった場所に現在も洞窟が残されています。

祠の中に入って中を観ることも出来ます。
三体のうち一体の薬師瑠璃光如来像が本尊として祀られており、現在は「岩屋山薬師堂」の奥の院となっています。
目や耳の病気の予防にご利益があるとされています。

祠の脇には名古屋方面の景色が豊かに望める展望台へ続く道があります。
展望台までの距離はおよそ600mですが、定光寺方面へ続く「東海自然歩道」の一過程であり、
かなり傾斜のきつい登山道です。

体力に自信のない方は休憩を挟みながらゆっくりと時間をかけて、30〜40分ほど見て登りましょう。
足場がゆるくなるので雨が降った後などは登るのを避け、夕刻以降の暗くなる時間には立ち入らないようにしてください。

展望台までの登山には自信がない…という方でも、そこまで厳しい道程を歩かなくとも観られる2つの滝があります。
こちらは「暁明ヶ滝（ぎょうみょうがたき）」。
鬱蒼と茂る緑に覆われた佇まいに風情を感じます。

鳥原川の源流部に近い場所まで行くと見られるのが「瀬戸大滝」。
落差約15mの距離を激しく落ちる滝で、間近で大きな音を聞き、岩肌を流れる渓流を眺め、大量のマイナスイオンを浴びることの出来る癒やしスポットです。

◆ 岩屋堂公園で燃え盛る秋の情景を愉しむ

鳥原川沿いの「岩屋堂公園」はシーズンによっては露店も出店し、特に観光客で賑わうスポット。
この周辺の中でも特に紅葉が美しい場所です。

公園の東側に架かる「紅橋（くれないばし）」は、
日本庭園のような真っ赤に染まった橋の欄干と紅葉の調和が特に情緒溢れるスポット。

昼間の風景もさることながら、11月中旬（2016年は11月12日〜11月20日）の夜間にはライトアップが施されます。
実際の紅葉と川の澄んだ水に映る紅葉がシンメトリーをつくり出し、視界が一斉に燃え盛るような赤と黄色の世界に覆われます。
そこにいる全ての人がその絶景を目に焼き付けんと佇み、深秋の回禄に胸を焦がすでしょう。

暁明ヶ滝もご覧の通りライトアップされます。
昼間に比べてより幽玄な姿を見せてくれますよ。

日本情緒と秋の深みを心ゆくまで堪能できる地。是非足を運んでみてください。
ライトアップは11月中旬の約1週間の間のみですが、紅葉自体は12月上旬頃まで楽しむことができます。

車で来場する場合、ライトアップ期間中のみすべての駐車場料金が一回800円、
それ以外の期間は有料と無料の駐車場がありますのでご注意ください。

岩屋堂までの道中の道路はかなり狭隘な山道が多いため、名古屋方面からだと遠回りになりますが守山区の志段味→瀬戸市の中水野、品野方面を経由するルートがおすすめ。
ただし渋滞にはくれぐれもお気をつけください。