名古屋市港区・土古にある『名古屋競馬場』が2022年3月をもって閉場し、愛知県弥富市に移転することが決定しました。
ここでは、移転の経緯や移転先の詳細、気になる跡地の利用などについてまとめていきます。
移転の経緯
「名古屋競馬場」は地方競馬の競馬場として、1949年に開設。
以前から施設の老朽化が問題になっていたものの、赤字経営が続いていたため、改築等の施策が見送られてきました。
赤字は2012年度まで続き、一時は廃止も検討されていましたが、インターネットでの勝馬投票券の購入が普及した流れから業績は好転、2013年度からは黒字化し、負債もピーク時の半分以下にまで減少。
移転しても採算/経営状況に大きな影響はないと判断された模様です。
移転先の詳細
移転先の場所は愛知県弥富市駒野町の『弥富トレーニングセンター』。
名古屋競馬所属馬の調教/訓練が行われている施設で、敷地面積は約77万平方メートル。
一周1,100mのコースのほか、厩舎、照明設備なども設けられていますが、スタンドなどはないため、競馬場設備の建築には、敷地の一部を売却して費用に充てるとのこと。
移転のメリットとして、競走馬の輸送費等のコストが削減出来ることや、周辺地域の了解が得られればナイター開催も可能となることなどが挙げられますが、デメリットとして交通アクセスの悪さがあり、JR「弥富」駅および近鉄「近鉄弥富」駅からは約11kmと極端に離れた場所となります。
跡地利用と気になるポイント
名古屋競馬場の跡地は、2026年に開催される『アジア競技大会』における、1万5,000人を収容できる選手村として活用。
宿泊地や食堂、トレーニング施設、娯楽施設、礼拝堂などが建設される見通しとなっています。
新たな競馬場建設という活気のある話題ですが、移転先のアクセスの面に懸念点が残ります。
しかしながら、場外およびネットでの購入が幅を効かせている現状が示されており、競馬場に客を呼ばない<ネット特化>の競馬の未来も見えてきます。
スタンドで競馬新聞を片手にレースに白熱し、馬の迫力を楽しむという光景は、次第に古いものになっていくのでしょうか。