名古屋では『キリンラガービール』が昔からこよなく愛されているそうだ。
データによれば、愛知県のキリンラガーの大びんの販売数は全国平均販売数のおよそ2倍らしい。
巷の酒場では、ビールといえば決まってキリンラガー。しかも大びん。
なぜキリンラガーは名古屋人に選ばれ続けているのか。その答えが知りたくなった。
その先に究極の「名古屋の味」というものがあるのではないだろうか、と思ったからだ。
まずは手始めに、名駅三丁目で多くの人々から愛されているお店『恵三(えみ)』に赴いた。
年々求心力の強まる名古屋駅前。
その裏通りにはサラリーマン達が癒やしの時間を過ごす飲み屋街がある。
その中の一件が「恵三」だ。
見るからに昭和の佇まい。先鋭的で洒落た建物が並ぶ中で一線を画している。
「恵三」という名前は、オーナーの娘の三姉妹が三人とも、名前に「恵」の字が入ることから名付けられたそうだ。
現在は三姉妹のうち2人が店を切り盛りしている。
常連客が多く、平日であれば夕方から閉店間際まで賑わう。
カウンター脇にはキープボトルがずらり。皆から愛されている証拠だ。
嬉しいことがあった日も、辛いことがあった日も、そして何事もなく終わった平穏な日も、
仲間と酒を交わし、料理を味わい、一日が終わる。
時には狭い店内で、全く知らないもの同士で、酒を介したコミュニケーションも生まれることもあるのだ。
まずはキリンラガーで1杯。ビールは最初の1杯が一番旨い。
そして間違いなく、瓶で飲むのがベスト。
つまみには定番の串盛り。
このお店は小料理にも非常に気が利いている。
とん平焼きの薄い卵の中に包まれているのは、オクラと納豆。
ほどよい苦味にビールを継ぎ足したくなること請け合いだ。
そしてこの店の名物と言われている人気メニューが、『カレー焼きそば』。
この上なくジャンキーであるにも関わらず、食欲をそそらずにはいられない見た目。
名古屋では元々ある料理に違う他の料理の具材/要素をプラスするというのがお家芸。
焼きそばだけでも非常にしっかりとした味わいだが、ここにカレーが絡むと驚くほど旨い。
パンチの効いた濃い味だが、だからこそ、
キリンラガーのホップの効いた濃厚な苦味が、より喉元にグッとくるものを感じさせるのだ。
仕事帰りの癒やしの時間。そこにはいつも側にキリンラガーがいる。
昔も今も、苦味が冴える大人の味が、日常の酸いも甘いも包み込む。
キリンラガーは、昔からある名古屋文化の一部なのだ。
日に日に変わりゆく名古屋駅前。
それでもずっと変わらない店、そして変わらない味がある。
キリンラガーと名古屋の味、その文化をさらに追い求めていきたい、そう感じたのであった。
◆取材協力/キリンビールマーケティング株式会社
MAP
場所 | 名古屋市中村区名駅3-26-2 |
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営業時間 |