円頓寺商店街の老舗食堂『はね海老』の名物エビフライと共に一杯【ラガー大びんの似合う店17】

グルメ

いつからかエビフライは「名古屋名物」「名古屋めし」として扱われているが、実際は名古屋発祥の料理ではない。
関東発祥で日本の「洋食文化」の代表的なメニューの一つである。

だが断固名古屋名物であると言わしめるほどの説得力とシンボリックな存在感をもつエビフライを提供する店がある。
今もなお下町の香りが残る西区・円頓寺商店街で、60年以上営業を続ける超老舗『はね海老』だ。

奇特な見た目とは裏腹に、シンプルで一度食べるとクセになる味と言われる名店を訪ねてみた。

昭和の香りを今に残す円頓寺商店街の老舗食堂

円頓寺商店街の中程に佇む老舗食堂「はね海老」。
小さな店ではあるが、外観からとてつもなく昔ながらの風情が溢れ出ている。見逃せない存在感だ。

中に入ってみると、4人掛けのテーブル席が6卓の、昭和の食堂然とした光景。
キッチンには昔ながらの珠暖簾。壁に掛けられた大きなスプーンとフォークが心にくい。

老舗の有名店だけあって、壁には有名人のサインがずらり。

気になるメニューは揚げ物が基本。
エビフライがメインでその他の揚げ物との組み合わせが楽しめる日替わり定食が人気だが、エビフライ/トンカツ/貝柱フライ/カニクリームコロッケ/チキンひとくちカツの中から好きな揚げ物を二種類選べる二種盛りもオーダーできる。

フライはどれも注文後に揚げたてで提供されるのが嬉しいところ。

 

ハイカラかつシンプルな定食メニューたち

こちらはエビフライとカニクリームコロッケの定食
思った以上にハイカラな見た目に驚く。

定食についてくるのは洋食風にライスとスープ…ではなく、ごはんと味噌汁。
もちろんこれらをお箸でいただくのだが、ごはんが皿に盛られている所が洋食好きの心をくすぐる。

名物はこの見た目にも印象的なエビフライ
一般的なエビフライとは異なり平らで幅広い形をしているが、これは海老をアジのように開いて揚げているからである。
また、”跳ね”海老という店名とは裏腹に、曲がらずピンとまっすぐな形をしているのが特徴。

ふわっとしているように見えて、噛むとザクッといい音がする。
そしてプリッとした海老のいい歯応えが気持ちいい。

実は開いた海老にさらに半身の海老を加えて揚げているため、食べている海老は1.5尾分。意外にもボリューム感があるのはそのせいである。
ソースにタルタルソースの組み合わせ。ごはんが進まないわけがない。

まるっこい形がいとおしいカニクリームコロッケは、カリッとした衣の中に、とろ〜りとしたベシャメルソースがたっぷり入っている。実に家庭的な味わい。

こちらはエビフライとトンカツの定食。
トンカツは小ぶりだが、衣が薄く丁度良い揚がり具合だ。

どのメニューもキャベツとマッシュポテト付き。
量は決して多くないが、不思議と満足感が高い。
シンプルで余計な要素のない料理こそ一番満足できる食事だということを、あらためて私達に教えてくれているかのようだ。

_しかしながら、どうしてもこれに加えてビールが飲みたくなるのが大人の性。
はね海老の料理に一番合うのは、名古屋人に昔から愛されてきたキリンラガー。これでこそオールスターだ。

定番の名古屋めしのような派手さはないかもしれない。
だが古き良きプリミティブな名古屋の味をこの店は今も体現してくれている。円頓寺商店街へ行った際にはぜひ立ち寄ってほしい店だ。

※記事中の画像・文章に記載されたメニューや価格等の情報は変更となる場合があります。

◆取材協力/キリンビール株式会社

MAP

場所 名古屋市西区那古野1-20-37
営業時間 月〜木:11:30〜14:00
定休日 日曜日
公式サイト