名古屋は昔から「夜が早い街」とよく言われる。
百貨店は遅くて22時、早くて20時には閉店。街中の飲食店も0時から1時には閉まってしまう店がざらだ。
意外にも下戸の多い県民性なのかもしれないが、酔いどれの呑兵衛たちにとっては、終電がなくなっても二軒目、三軒目を求めたいところ。
そんな中、名古屋駅の東・柳橋に店を構える『丸八寿司』は、なんと基本無休・24時間営業で、旨い酒と寿司が味わえるという珍しい店だ。
さらに珍しいのは営業時間帯だけでなく、ここでしか食べられない風変わりなメニューなのだが…
出来れば純粋な青少年諸君はここから先は読むのを避けていただきたい…。
● 柳橋のディープスポット「丸八寿司」その外観は…
名古屋駅周辺も深夜の時間帯ともなれば、昼間の喧騒が嘘だったかのように静まり返る。
草木も眠る丑三つ時とはよく言ったものだ。
街の灯りも大方が消え、高速道路のオレンジ色のナトリウムランプが煌々と照るばかり。
そんな時間帯にも営業しているのがこの『丸八寿司』。
しかしながら、外観を一目見る限りでは、もはや営業しているのかどうかもよくわからないであろう。
ネオンサインには外国人向けの英語表記も書かれている。
その中にちらほら気になるあやしげなメニュー名が散見されるが、この件については後で散々つつくので、とりあえず今のところはスルーさせていただきたい。
店舗は2Fにあるが、それにしてもこの階段を上るのはあまりにもハードルが高すぎる。
この場末感を乗り越えるには、本来あらかじめ一杯引っ掛けて気分良くなっておくのが正解なのかもしれない。
店内には20席程度のカウンターと、それ以外に座敷席も用意されている。
こんな深夜にも関わらず、カウンター席の半分以上が埋まっているというのは驚きだ。
ただの珍奇な店ではない、常連として通いたくなる魅力がある証拠であろう。
雰囲気は完全に昭和の古風な居酒屋。全面の壁にいつから貼られているのかわからないボロボロのメニューが書かれた紙が。
こういった店の雰囲気が苦手な人もいるかもしれないが、この「ラガー大びんの飲める店」シリーズは、そういった店を回る企画なのだから、ご容赦願いたい。
● まずはオーソドックスな寿司から堪能…
まずは一般的な寿司ネタメニューの味から確かめたく、ビールとともに『特上寿司』をオーダー。
見た目的には肴の鮮度や盛り付けともに美しいことこの上ない。
しばらくは、活きの良いネタの数々を写真でご堪能いただこう。
「鉄火巻」。
腹を満たすために4切れ用意されている。
「えび」。
非常に弾力があり、肉厚。
「いか」。
こちらも肉厚で、舌に絡むようなイカ独特のぬめり感が良質なネタである証拠だ。
やや変わり種の「子持ち昆布」。
独特のしゃっきり感が爽やかな「たい」。
そして王道の「まぐろ」。
ここからは特上寿司ならではの御三家。
まずは「いくら」。
鮮度がモノを言う「うに」もこの上なく良質。
そして最後は『大とろ』。口の中でとろける食感を心ゆくまで楽しめる。
どのネタもすべてすぐ近くの柳橋中央市場から毎日仕入れしているものであるため質が良く、しかも全体的に厚めに切られているため満足感が高い。
通常の寿司店の紹介であればここで終わりなのだが、この丸八寿司を取り上げるからにはここで引き下がるわけにはいかない…。
● 名物の珍妙すぎるメニューの数々に舌鼓(?)
いよいよこの丸八寿司の名物たる、変わり種寿司に挑戦。
壁に貼られた紙には「ABC巻」「丹波哲郎巻」「ちびまる子巻」など通常ではあり得ないメニュー名が数え切れないほど列挙されているが、正直どれをオーダーしたらいいのか悩む。
そもそもこの珍メニューの名前はほとんどが中身のネタを示すものではない、オヤジギャグレベルのダジャレで付けられたものだからだ。
大将にどういったものなのか聞いてみても「出てきてからのお楽しみ」ということになっている。
とはいえ、若い子には意味がわからないであろう『銀映巻』『戸塚ヨット巻』や、明らかな下ネタ&ヤバネタ系に相当するメニューは、名古屋情報通は明朗な青少年も見ているサイトであるからして、どうにか避けたいところ。
ここはひとつ、一か八かで、
「おちこぼれ巻」「嫁姑巻」「かんにんぐ巻」
の3品をオーダーすることにした。
おちこぼれ巻
まぐろと卵、他に何かしらのネタが見え隠れするこちらの巻物。
なぜ「おちこぼれ巻」というかというと、実は通常の寿司ネタで提供した際に出る半端ものを集めて作った巻物だとのこと。
奥の方まで食べ進めてみると、いかやサーモンなどてんこもりに入っており、意外にお得なメニューかもしれない。
嫁姑巻
他と比べればソフトなメニュー名であったためオーダーしたこちらの「嫁姑巻」。
出てきた巻物からは、ニュルッと二枚の貝が飛び出している。むむっ、これは…
ド直球の下ネタやないかーーーいっ!!!!
ピンク色をした赤貝と、濃い紫色のとり貝…
意味するところはご想像におまかせしたい。。。
かんにんぐ巻
今度こそはおそらく安全牌だと願いたい「かんにんぐ巻」…
出てきてみるとこれは。。。
「嫁姑巻」と同じやないかーーーいっ!!!!
実はこの「かんにんぐ巻」、テストでカンニングして同じ答えを書くというところから、
前に頼んだものと同じものが提供されるという仕組みなのだ。FFでいうと「ものまね」みたいなもん。
カンニングは同じグループ内のみで適用されるので、他のお客さんのオーダーしたものが出てくるというわけではない。オーダーする順番にも要注意だ。
思いがけず下ネタ二連発が来てしまい、このままでは真っ当な記事として成立しない可能性が出てきてしまった。
そこで急遽追加オーダー。次こそはマトモめなメニューであることを願いたい。。。
ドラゴン巻
大将に「一番インパクトがある面白メニューを」と追加オーダーしたのがこちらの「ドラゴン巻」。
“えーっと、名古屋だからドラゴンズ関連かな…?”
などと憶測を巡らせてはいたのだが、出てきたのは一見シャリ以外何も包まれていない巻物。
しかしながら食べ進めてみると、むむっ、これは。。。
うおぉぉぉぉぉっ!!!わさびがぎっしりいぃぃぃっ!!!!
しかもわさびだけではなく、
柚子胡椒、タバスコ、七味唐辛子、さらには辛子明太子とかいわれまでも奥までぎっしり詰まっているのだ。
まさに火を噴くドラゴンに豹変する激辛メニューだが、
火どころか、両目から大粒の涙があふれ出た。
うむ…まさしく、強烈なインパクトのあるメニューでした… 大将、ご馳走さまでした…。
涙がちょちょぎれるほど強烈な辛さは、ラガーが癒やす。
ラガーがこれほどまでにまろやかな飲み物だと思ったことは初めてだ。。。
他にも数々の変わり種メニューがあるので、どんな物が出てきても食べられる勇気のある方は果敢に試されたし。
ちょっぴり大人な遊び心のある、他に替えの効かない名古屋ならではの唯一無二の名店。
ちなみに今回オーダーした品の数々のお会計は締めて5,000円強なり。比較的リーズナブルな価格で新鮮なネタを味わえるので、通常の寿司屋としての利用は普通にオススメだ。
◆取材協力/キリンビール株式会社
MAP
場所 | 名古屋市中村区名駅4-21-5 |
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営業時間 | 24時間営業 |
定休日 | 無休 |
公式サイト |