名鉄神宮前駅から南へ徒歩5分、熱田神宮の東門を望むそこに、老舗喫茶店があるのをご存知だろうか?
今回紹介する「ICメイツ」は筆者の知るナゴヤ喫茶店文化から一線を画す老舗喫茶店のうちの1つ。
この喫茶店には今をときめく大物からこれからのシーンを支える野心あふれる若手アーティストまであるカルチャーシーンの体現者達が集うのだ。
なぜICメイツは名古屋喫茶文化から一線を画すのか、カルチャーシーンの震源地とは何か?その全てを紹介する。
熱田神宮まで来たら一度は訪れたい名店
熱田神宮へ参拝に来る方で「蓬莱軒」へ訪れる方も多いのではなかろうか?
確かに蓬莱軒のひつまぶしは有名だし、美味しい。並んででも食べたいのはわかる。が、熱田神宮周辺には昭和の時代からの老舗店が多くある。
今回紹介するICメイツもそのうちの1つだ。
熱田神宮の東門から出ると大津通を挟んだ反対車線にある。
気取らない看板が老舗の風格を醸し出していて、オーナーの大矢チーフと奥様が切り盛りしている。
チーフは素敵な老紳士でフロアではなく厨房に、奥様はフロアで接客を担当する。
開業はチーフ曰く「ヨーグルトがなかなか手に入らなかった時代」というから昭和の中期以降だ。
メニューはこれぞ喫茶店というメニュー。
珈琲、紅茶はもちろん、トースト、パスタ、ホットサンドにパフェ。
一見するとありきたりな喫茶メニューが並ぶが、メニューをよくよく読んでみて欲しい。
そこにはチーフこだわりのネーミングが付けられていて、大変ユニークで情緒あふれるメニュー表になっているのだ。
パフェメニューはヨーグルトを使ったメニューが豊富。「この組み合わせがこんなに美味いのか!?」と驚かされる。
今回お願いしたパフェはチョコとヨーグルトとソフトクリームに季節のフルーツがふんだんに盛られていて、食べる前から楽しませてもらえた。味はもちろん、見て楽しませてくれるパフェに久しぶりに出会えた気がする。
グルメ記事が書けない筆者でもうんちくを垂れたくなる。(多くを語れない事が悔しいが…)
熱田神宮の参拝で歩き回ってお腹が空いてしまったらパスタを頼みたい。
どのパスタもチーフが腕によりをかけて出してくれるので参拝でペコペコになったお腹に優しく、そして満足感を与えてくれる…つまり美味い。
あまり味を文章で表現するのは得意ではないのだが、濃厚なトマトソースは後々まで記憶に残る味だ。
詳しくは後記するが、多くの著名人がここへ訪れた際に注文する理由はこの味が忘れられないからだと推察される。
オーナーの大矢チーフは何者だ!?
ICメイツのオーナー、大矢チーフの下には沢山の著名人が集まる。
映画監督や尾崎豊の元マネージャー、栄ミナミ音楽祭のスタッフ、そして多くのミュージシャンだ。
そして創業から多くのミュージシャンが名古屋に訪れた際に立ち寄る場所。
この話はチーフから直接聞いてもらいたいのだが、誰でも知っている大物ミュージシャンも名古屋へライブに来た際、必ずここへ来店し、イタリアンパスタを食し、満足して帰っていく。
またある時は映画監督がフラリとやってきてパスタを食べて帰っていく。(取材当日もある映画監督が居たようだ)
ここまで著名人に慕われる理由はチーフの人柄に引き寄せられるのだ。
毎週土曜日の夜営業は若手ミュージシャンにお店を貸してライブハウスとして営業している。
名古屋以外で活動している若手ミュージシャンが名古屋での活動のスタートアップとしてこの店を訪ね、ここから名古屋でのライブ活動を始め、栄ミナミ音楽祭などへ紹介している。
毎週土曜日の夕方の営業は名もなき若手ミュージシャンたちが貸し切りライブ活動を行っている。
栄でも今池でもない熱田から名古屋へそして全国区になったミュージシャンは数知れず。「今も昔もミュージシャンがよく来るんだよね」なんてチーフは謙遜するが、懐の深さ、豊富な知識やアイディアに助けを求めにやってくるのである。
が、どんな大物ミュージシャンも映画監督もチーフの前では一人のお客さん。
誰にでも分け隔たりなく迎える姿勢がこの店の根幹といってもいい。
その証拠に、インディースミュージシャン以外のサインや写真など一切店内に飾られていない。
「分け隔たりなく」とは差別も区別も特別扱いもしないということなのだ。
前記したが、コロナ禍前は全国から来る若いミュージシャンが毎週土曜日の夕方からライブ活動を行っていた。
一旦はその活動を止めてしまっている。
コロナ禍が落ち着き、日常が帰ってきたら若手ミュージシャンによるライブハウスとして開放される。また土曜日に若い才能に会えるのは非常に楽しみだ。
そしてここに集まるのはインディーズミュージシャンばかりではない。
時にはメジャーデビューしたミュージシャンも来店する。
もしかしたら名古屋にライブツアーで来たあの人がいる!なんてこともあるのである。
ちなみに筆者は以前、なぜチーフと名乗っているのかを疑問に持ち聞いたことがある。ご自身のお店でオーナーと名乗っても良いはずなのに、自らが「チーフ」と位置づけているのには~直接本人から聞いてみてほしい。きっとまたICメイツに行きたくなるから。
素敵なネーミングのパフェを制覇せよ!
通常営業は平日月~金、土曜日(ライブのある日は昼まで)だ。
名古屋には個性的な喫茶店、老舗の名店と呼ばれる喫茶店は数多くある。どのお店も珈琲だったりフードだったり個性的な品揃えだ。
この店には他に負けないメニューがある。それがヨーグルトを使ったパフェである。
筆者が頂いたのはヨーグルトをベースにソフトクリームとチョコレートをあわせ、フルーツをてんこ盛りに盛られたパフェ。
ヨーグルトにチョコレートがこんなにも相性がいいとは思いもしなかった。
また、ソフトクリームの優しい甘さがヨーグルトの酸味を引き立てて、チョコレートが追い打ちをかけてくる。
語彙力が足りないのでこれ以上は語れないが、ぜひお店で味わってほしい。
そしてパフェのメニューのネーミングセンスの高いこと…。
味以外を楽しませてもらえるがここではそのメニューは載せない。実際に行って確かめてほしい。
名古屋喫茶文化というものがなにかと話題になるが、ここはその時代の本流にある名店だ。
チーフの人柄、奥様の人柄も添えて、あなたが熱田神宮で歩き疲れてしまったら訪ねてみてほしい。
そして味はもちろん、素敵すぎるネーミングのパフェやチーフの作るパスタなど色々味わってほしい。
そして少しだけ足を止めて、店内に流れるBGMに耳を傾けつつ、若いアーティストの情熱を感じてみてもらいたい。間違いなくそこには名古屋ミュージックシーンの震源地があるのだから。
MAP
場所 | 愛知県名古屋市熱田区神宮3丁目9−18 扇屋ビル |
---|---|
営業時間 | AM7:00 ~PM5:00(モーニングAM7:00~AM10:00) |
最寄り駅 | 名鉄本線「神宮前」駅から徒歩5分 |
お問い合わせ先 | I.CメイツFacebookページ |