廃小学校に新たな息吹_『なごのキャンパス』が育むクリエイティブの形とは。

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名古屋市西区・那古野に、廃校となった小学校の建物を活用したインキュベーション施設『なごのキャンパス』が2019年10月28日(月)に誕生する。

名古屋駅から徒歩8分というレアなロケーションに位置する旧『那古野小学校』跡地に、オフィスとコワーキングスペースを擁する未来に向けての新たな”学び舎”が生まれることは、非常にセンセーショナルで興味深い事象ではなかろうか。

当編集部は開校に先立ち、特別にキャンパスの内部を取材させていただくことが出来た。
学校という独特のわくわくするような空気感、そしてこの場所から新たな価値観が生まれる予感のようなものが、写真と文章から少しでも伝わればと思う。

廃校から未来の名古屋の魅力を生み出す学び舎へ

「なごのキャンパス」は、2017年3月に廃校となった旧那古野小学校の校舎施設を利活用するプロジェクトとして、東和不動産株式会社を主体に、名古屋商工会議所、株式会社パソナJOB HUB、株式会社R-pro、Tongaliプロジェクトが参画し運営する施設。

1909年から100年以上続いてきた歴史ある小学校を引き継ぎ、新たな歴史を紡ぐ『次の100年が育つ学校』がコンセプト。
リニア中央新幹線開業を迎え発展する名古屋駅にほど近い”那古野エリア”の価値を創出し、さらに名古屋の魅力や個性を高める拠点としても注目されている。

1Fにあるコワーキングスペース『HOME ROOM』

施設内は個室のプライベートオフィス、固定席のシェアオフィス、さらにコワーキングスペースや会議室/イベントスペースなどで構成。
プライベートオフィスはすでに満室となっているが、シェアオフィス利用者とコワーキングスペースの会員は現在も募集を続けている。
また、コワーキングスペースは1日単位のドロップイン(1,500円/日)で利用することも可能だ。

独創的空間でおもてなしするコワーキングスペース

『HOME ROOM』に置かれた跳び箱を利用したテーブルと椅子

1Fのエントランスを入ってすぐの場所にある『HOME ROOM』と呼ばれるコワーキングスペースは、元々は職員室があった場所だそう。

明るく居心地の良い空間にリノベーションされた部屋のところどころには、跳び箱を利用したテーブルと椅子、ドラムのタムやスコアボードを利用したランプシェード、運動場の白線引きを利用した植木鉢など、遊び心にあふれるオブジェが目につく。

ドラムのタムを利用したランプシェード

体育倉庫に置いてあったようなスコアボードを流用して作ったランプシェード。かなり独創的。

柔軟な発想が求められる利用者たちにとっては、この独創的な空間こそがまさに最上級のおもてなしとなるのではないだろうか。
元々学校で使われていた備品は大部分は市によって撤去されたため、これらのオブジェはわざわざ新品を用意して作られたのいうのだから、さらに驚きだ。

「遊び」を見出しアイデアが生まれる

2F/3Fは、企業が入居する個室のオフィスが並ぶ。
それぞれの個室は教室をリノベーションしたもので、部屋の分割/統合やセキュリティロックの設置などはされているものの、引き戸のドアや廊下に面した窓、黒板や壁面棚などが残っており、見た目的には私たちが子供の頃に見ていた光景そのものだ。
ここにデザインやIT、人材支援やイベント企画など多種多様な業種のベンチャーを中心とした18社が入居する。

廊下の窓からふと外を見ると、真向かいに「プライムセントラルタワー」が、そしてその背後には名古屋駅前の高層ビル群が立ち並んでいるのが見えた。
改めてこの場所の稀有なロケーションに気付かされる。

建物の外は都心の刺激と情報にあふれ、大人達がせわしなく奔走する世界。
片やこの建物の内側は、伸び伸びとした子供の心を想起させる、発想に縛りのない世界だ。

この奇抜な空間こそが、新たな価値観が生まれていく創造の源となるのではないか。
小学校の頃、廊下の雑巾がけがいつの間にか友達との競争に変わっていったように、独自の「遊び」が見つけ出せる場所。
大人達が社会や時代から求められる課題を打開するアイデアが、最大限に、真剣に「遊び」を見出すことによって生まれていく。
なごのキャンパスが育んでいくクリエイティビティとは、そういったものなのではないかと感じたのだ。

一般の方も利用可能な施設

入居者以外の一般の方がこのキャンパスの空気に触れられる機会も少なくない。
前述の通りコワーキングスペースが月額契約や日ごとのドロップインで利用できるだけでなく、各種イベントの開催時に校内に立ち入ることが可能だ。

スポーツ利用も可能な体育館

音楽室を利用したミーティングルーム

体育館は大規模な講演イベントなどで利用されるほか、時間単位でのスポーツ利用も可能。
また音楽室だった場所を利用したミーティングルームやコワーキングスペースも中〜小規模のセミナーや講座などのイベントで利用される。
予定されているイベントはなごのキャンパスの公式サイトで閲覧・申し込みが可能なのでぜひそちらをチェックしてほしい。

また、1Fの大通に面した元々給食室だった場所には、飲食店『yoake』がオープンし、朝から夜まで一般の方も自由に利用することが可能。
こちらは、なごのキャンパスにも入居し名古屋/東京でおはぎと和菓子の専門店『OHAGI3』を展開する企業「ホリデイズ株式会社」が手がける世界の食文化に出会う新業態となっている。

那古野エリアの価値を向上させるとともに、童心と学びの心を立ち戻らせる貴重な空間でもある新スポット。機会があれば是非この空気感を感じ取ってほしい。

MAP

公式サイト なごのキャンパス