名古屋城から徳川園にいたる、名古屋の近代化の舞台となった場所であり、財界人の屋敷が連なる地域「文化のみち」。
この地域を象徴し、その華やかさで一段と存在感を示しているのが『文化のみち二葉館』です。
美しいオレンジ色の瓦屋根、ステンドグラスや螺旋階段など大正ロマンにあふれたこの館の見どころや歴史をはじめ、公共交通機関でのアクセス方法まで詳しくご紹介していきます。
目次
◆見どころその1:鮮やかなステンドグラス
◆見どころその2:女優気分になれる螺旋階段
◆見どころその3:電力の館
◆見どころその4:モダンなマークのランプシェード
◆見どころその5:支那室
◆アクセスと開館時間などその他の情報
文化のみち二葉館の歴史と概要
文化のみち二葉館は、「日本の女優第一号」として名をはせた川上貞奴(1871年〜1946年)が、木曽川水系に多くのダムを建設し「電力王」とよばれた福沢桃介(1868年〜1938年)とともに暮らしていた館。
元々は現在の場所よりもっと北の東区東二葉町にありましたが、現在の場所に移築復元し、2005年に開館しました。
その絢爛豪華さから「二葉御殿」と呼ばれていたこの建物は、来客を迎えた大広間や食堂などの洋間はもちろん、日常生活に使われていた居室や茶室、書斎などの和室にいたるまで各部屋を当時の様式をもとに再現。
調度品や衣装をはじめとした、貞奴と桃介に関するさまざまな資料も展示公開されています。
見どころその1:鮮やかなステンドグラス
大正9年頃に建てられたこの建物は当時の住宅専門会社「あめりか屋」が設計し、和洋折衷で当時の最先端のモダン邸宅でした。
その入ってすぐのところにある大広間は、当時の財界人や文化人たちが集まるサロンとして機能していたのです。
その華やかさな社交場の象徴たるものが、洋間に配置されたステンドグラスです。
ステンドグラスはすべて福沢桃介の義弟であり、日本のグラフィックデザインのさきがけとも言われるデザイナーの杉浦非水が描いた原画をもとに作成されました。
当時のまま残されている箇所に関しては、非常に質感高く大正時代の工法がよく見て取れます。
西側の窓にあしらわれた作品「踊り子」は、舞台に立つ貞奴の姿をイメージしたものでしょうか。
西日の光がさんさんとこぼれる室内に浮かび上がる様はどこか妖艶さすら感じさせます。
見どころその2:女優気分になれる螺旋階段
またステンドグラスと並んでこの館を象徴するのが大広間から2階へとつづく螺旋階段。
木製の美しい曲線を描いた階段は裏側にもキレイに板が張られているのが特徴です。
赤い絨毯が敷かれ、まるでスクリーンの中の世界から飛び出してきたような艶やかさ。
元々が女優であった上に、引退後も川上絹布という会社を興し女社長でもあった貞奴は、まさに大正時代のセレブリティ。
この階段から優雅に社交界へと降り立つさまが目に浮かびます。
階段の隅に配置されたランタンにも注目です。
全部で5個のランタンがありますが、上の写真で2階に見える1つだけが当時から残されているものだそう。
若干の光の色や質感の違いを観察してみましょう。
見どころその3:電力の館
電力王と呼ばれた男が住んでいた屋敷だけに、当時においては最先端の驚くべき電気設備が配置されています。
特に象徴的なのが「呼び鈴」。
使用人の詰所の前に置かれた親機は、家の中のいたるところにあるボタンを押すとベルと共に部屋を示す番号が表示される仕組みになっています。
現在もベルは鳴らないものの、ボタンを押して番号がパタンと表示される仕掛けを体験することが可能です。
また電灯のスイッチも当時使用されていたものが残っています。
ONとOFFのボタンが上下に並んでいる現代ではなかなか見られない形です。
1Fの奥に大理石でできた大きな配電盤も見ることができます。
停電の際にも自家発電できるようになっており、辺り一帯が暗い中でもこの屋敷だけは煌々と灯りがともされていたそう。
見どころその4:モダンなマークのランプシェード
和室のいたるところにぶら下がるランプには、よく見るとランプシェードに一様に同じマークが描かれています。
波間にもみじが重なったようなモチーフの紋章で、貞奴がもみじを好んでいたことから使われていたとされています。
ほかのランプシェードを見てもモダンかつ粋なデザインが使用されています。
これらは当時のままのものが使用されているというのですから驚きですね。
大正時代の美的感覚が非常に洗練されていることがわかるでしょう。ここに古さは感じられず、何もかもが新しく斬新なのです。
見どころその5:支那室
細かい見どころとしては、2Fにある「支那室」という部屋が挙げられます。
支那室とは、大正から昭和初期の文化人や財界人の邸宅によく見られる中国風の様式が取り入れられた部屋で、3畳ほどの小さな部屋ですが何に使われていたのかはよくわかっていません。
ただ、二葉御殿は高台の土地に建っていたとされていますから、他に高い建物のない当時においてはこの部屋からの眺望は非常に良いものであったことが想像できます。
アクセスと開館時間などその他の情報
文化のみち二葉館への公共交通機関でのアクセスは、バスがもっとも便利です。
名古屋駅のバスターミナルから、なごや観光ルートバス「メーグル」で「文化のみち二葉館」停留所降りてすぐ、
基幹2系統「白壁」停留所から徒歩約2分、幹名駅1系統「飯田町」停留所から徒歩約2分で到着します。
また地下鉄では、桜通線の「高岳」駅から徒歩約10分程度で到着します。
場所 | 名古屋市東区橦木町3-23 |
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開館時間 | 10:00〜17:00 |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は直後の平日) 12月29日〜1月3日 |
入場料 | 大人:200円 中学生以下無料 文化のみち橦木館共通観覧券:320円 |
公式サイト | 文化のみち二葉館 |