久屋大通公園北部にある4つの広場がなくなるかもしれないので、改めて歩きに行ってみた。

観光

久屋大通公園のテレビ塔より北側、桜通から外堀通までの間に『ロサンゼルス広場』『メキシコ広場』『南京広場』『シドニー広場』という4つの広場があるのを知っていますか?
実はこの4つの広場が近い将来なくなるかもしれないのです。

かくいう私もなんとなーく広場の存在自体は知っていましたが、まじまじと観て回ったことは一度もなかったので、改めてどんな広場なのか観察しながら歩きに行ってきました。

● 4つの広場の存在と将来の計画

再整備により無くなる可能性のある広場は、テレビ塔に近い順に『ロサンゼルス広場』『メキシコ広場(いこいの広場)』『南京広場』『シドニー広場』の4つ。
それぞれが東西に走る道路によって分断されている形です。

外国の都市の名前が付けられているのは、名古屋市がこの4都市と姉妹友好都市提携を結んでいるからなんですね。広場ごとにその名にちなんだモニュメントなどが設置されています。

この広場が再整備される理由というのが…

公園は供用開始から50年近くが経過。段差が多く、木々が生い茂り見通しも悪い。このため、市は「閉鎖的で暗い」「親しみやすさや温かみがない」といった印象を与えているとして、再開発することにした。
(朝日新聞デジタル2017年5月14日付より抜粋)

ということらしいのですが、
えぇーっ、そんなに閉鎖的で暗い印象だったっけーーーーっ!!??

確かに木が多い印象はありますが、本当に親しみやすさや温かみが感じられない広場なんでしょうか?
実際に歩いて確かめてみましょう。

 

● ロサンゼルス広場

まずは桜通のすぐ北側に位置する「ロサンゼルス広場」。

ここは何といっても久屋大通公園を縦断する「さかえ川」の水辺の風景が印象的ですね。
昔は子供を水遊びさせている光景も見たことがあるような気がしますが、最近はどうでしょう?

前述の通り広場には姉妹友好都市にちなんだモニュメントが設置されているのですが、その数はこのロサンゼルス広場が一番豊富です。
まずは『ロサンゼルスの石』。
大きな石がどすんと置かれていますが。。。

石の説明書きが超かすれてて読めません。。。

むしろ、もう誰も読む人もいないのでしょう。

地面には星マークにハリウッドスターの名前が刻まれたプレートが埋め込まれています。
これはハリウッドの『ウォーク・オブ・フェイム(有名人の道)』の複製だそうです。

中心部にはオオワシの彫刻が立つ柱と、その下には手形のようなものが。。。

マリリン・モンローの手形…

…ホントかな??

さらには『フレンドシップパターンズ』なる壁画も。
これはあんまりロサンゼルスって感じじゃないですね。
例によって説明書きもかすれてて読めません

都市を流れる川の景観は美しいですが、
計画の中ではこのさかえ川も撤去される方針だそうです。
人の賑わいが無ければ、「風景そのもの」は都市の価値にはならないのでしょうか。

■ メキシコ広場(いこいの広場)

ロサンゼルス広場の北にある『メキシコ広場(いこいの広場)』。

「いこい」と名前が付いているだけあって、かなり憩いの場になってます。
撮影日時は平日の昼間なので、近隣のオフィスで働く人々のお昼休憩の場所になってますね。
ベンチや座る場所も4つの広場の中で一番多いです。

メキシコ広場ということで、メキシコから寄贈されたという『アステカの暦』が展示されています。

複雑な模様が描かれていて神秘的〜…かもしれませんが、周囲の花の植え方が妙に親近感のあるかわいさでギャップがすごいですね。

森の脇の方に古代アステカ文明の戦士像も立ってますが異様に目立たないです。

エキゾチックな雰囲気はおまけ程度で、ただの森の中の広場的な用途で利用してくれればいいよ、という意図なのでしょうか?
ちなみにこの場所、ネズミコウモリも出るので都会の中での自然度はかなり高めです。

● 南京広場

さらに北上して『南京広場』へ。
このあたりから木々の鬱蒼度が本格的に増してきます。

広場の入口の両脇に白い柱が立っていて、上に何か動物の像のようなものがこしらえてありますね。
文字は中国語で書かれていてよくわかりませんが、「南京広場」って書いてあるのかな??(←適当)

中央のメインストリートには両脇にベンチが置かれ、人々が憩いの時間を過ごしてます。
ここ、鳩が多いのでフンが落ちてこないか若干気になって落ち着けない気がするんですよね〜;

しかしながら、景観だけはちょっとパリの並木道みたいな感じに見えませんか??

秋の日に枯葉の舞う中で、ジェーン・バーキンになったつもりで、トレンチコートを着て闊歩してみたくなりますね〜。

ちなみに公園の両脇にさかえ川の上流(?)部がくねくねと流れてます。
歩道との間に仕切りがないので夜になると落ちる可能性のあるアレですね。

昔ここで体を洗っているおじさんなら見たことありますよ。

● シドニー広場

最後は最北端の『シドニー広場』。

雰囲気は南京広場に近く、鬱蒼と茂った木々が立ち並ぶ並木道ですが、
4つの広場の中では群を抜いて何もない寂しさ

冬の日に枯木の中で、サイモン&ガーファンクルを聴きながら、トボトボと歩いてみたくなりますね〜。

この広場の北端・外堀通に面した場所には、オーストラリアに初めて渡った軍艦「シリウス号」の錨の複製が展示されています。
目立たない場所でもないと思うのですが、今まで一度も気付くことはありませんでした

うーん、ここまで来ると栄からかなり離れてしまうので、なかなか足を運ぶことはないですねぇ〜

 

● 久屋大通公園の今後は…

一通り久屋大通公園北部を歩いてみての感想ですが、
確かに鬱蒼とした場所もありますが、陳腐な印象はありませんでしたし、都会のオアシスとして見るならば人も少なく静かな区域として残しておいても良いのでは?と思ってしまいました

ただ、姉妹友好都市関連のモニュメントは飾り程度で、普段通っているだけではなかなか印象に残りにくいものが多く、観光要素にも乏しいと感じました。
ちなみにこれらのモニュメントは計画の中では完全撤去ではなく、移設という形を採るとのことです。

再生計画では、これらの地区にはカフェやギャラリーを呼び込み、樹木を間引いて明るい印象を与える新たな憩いの場を創出するとのこと。
(詳細は名古屋市ホームページ「久屋大通のあり方(案)」を参照して下さい)

 

名駅地区に客足を取られる一方で年々人出の少なくなっている栄地区。

「利便性が高い駅前を鉄道会社が本気で整備すれば、民間投資が集中する。名駅だけが発展すれば『東京都名古屋市』になりかねない。名古屋の生命線は地元資本が集まる栄だ」と危機感を募らせる。
(朝日新聞デジタル2017年6月10日付より抜粋)

確かにその通り。
大都市は魅力的な街が複数あるべきであって、名駅一極集中は避けたいところです。

また反対意見として、

「公園の緑は名古屋の誇り。樹木の間隔が狭いとも、園内が暗いとも思わない」と批判。(中略)「道路の車線を減らすと渋滞が起きるのでは」「園内道路を閉鎖すると緊急車両まで通れなくなる」と指摘している。「にぎやかな場所は名古屋駅前にも公園南地区にもある。ゆったりとリラックスできるスペースがある方が、都市の魅力が高まるはずだ」
(朝日新聞デジタル2017年6月10日付より抜粋)

という意見もあります。

再整備したとしても、栄からの距離的な問題もありますし、中途半端な整備では「にぎわい」には漕ぎ着けないのではないでしょうか。皆さんは、どう思われますか??

MAP

場所 名古屋市中区丸の内3ほか 久屋大通公園