今池『シヤチル』現代のグランド喫茶で味わう進化系サンドイッチたち

グルメ 開店

喫茶店文化が根強く残る名古屋。
半世紀以上も営業を続ける超老舗喫茶もある中で、新規にオープンする喫茶店というのはチェーン系を除いては数少ない。
そんな中2018年5月に千種区・今池にオープンした『シヤチル』は、平成最後の年に生まれた喫茶店として非常に特異な存在だ。

名古屋的喫茶店に新しい要素を加えた「グランド喫茶」というキャッチコピーを自ら標榜。
一体どういう所が「グランド」なのか?と疑問に思いながらお店に赴いたところ、想像以上に「グランド」であったため、
看板メニューの”進化系サンドイッチ”をメインにこのお店のグランドぶりを紹介しよう。

モダンなカフェとレトロな喫茶店の要素が混在する「グランド喫茶」

広小路通の千種駅前〜今池のちょうど中間地点あたりにある「シヤチル」。
ちょうど道路向かいにガソリンスタンドがある場所なので、目印にするとよろしい。
レトロなフォントのお店ロゴがキャッチー。

店内に入ってみると、昔ながらの喫茶店というよりは現代的なカフェのようなおしゃれな空間が広がっている。

ウッディな質感やグリーンの使い方などモダンなカフェの要素と、レトロなデザインのランプシェードなど昔ながらの喫茶店的な要素が共存した空間。
テーブル席では喫茶店のようにゆったり過ごせそうだが、バーカウンター的な席も用意されているためなんとなく夜が似合いそうな雰囲気もする。

ホール中央部の大きな壁画に描かれた名古屋の象徴たる「鯱」を大胆にデフォルメしたイラストが非常に印象的。

店名は「シヤチル」と書いて、「しゃちる(鯱る)」と読む様子。
「シヤチハタ」や「キヤノン」のようなものだ。

鯱のイラストや鯱の字をモチーフにしたネオンサインなど、グラフィカルな点でも非常に楽しませてくれる要素が多い。

幸福感あふれるデザート『あんバタサンド』

提供されているメニューは、コーヒーはもちろん、クリームソーダなど喫茶店的なラインナップを主軸に、この店ならではの無国籍な一品料理など実にバラエティ豊か。

その中でも特筆すべきはサンドイッチ系メニューの豊富さである。

まず紹介するのは『あんバタサンド』。

実に名古屋的なルックスのあんこ+バターのサンドイッチであるが、ちょっとした工夫がなされている。
あんこはつぶあんではなくこしあん、バターもやや厚切りめのものをごっそりとサンド。

この塊バターに感じる後ろめたさ、そして幸福感がたまらないっ!!
子供の頃冷蔵庫のバターを隠れてかじっていたようなタイプの人におすすめだ。

バターと一緒に挟まれたちょっとした隠し味にも注目。ミニサイズなので食後のデザートにも◎。

ふわとろ・にゅるりん食感の『たまごサンド』

続いて紹介するのは喫茶店の定番とも言っていい『たまごサンド』。

厚焼きオムレットタイプの卵が挟まれているが、この卵がとにかく分厚い
しかもかなりのふわとろ

手に持ってかぶりつくと脇からにゅるりんっと卵がはみ出るほどのふわとろ加減。
ただのたまごサンドに見えて幾分手間をかけているのが見て取れる。パンに塗られている辛子との相性も最高だ。

ガッツリな食事向けなサンドイッチもあるよ

また進化系サンドイッチとしてお店の一押しのメニューがこの『ソルトビーフサンド』だ。
イギリス・ロンドンの有名店で提供されているメニューのオマージュとのこと。

具材は塩漬けした牛バラ肉とピクルス、マスタードというシンプルな構成だが最高すぎるベストマッチを見せている。
肉の質感はラフでいてかつジューシー。ごろごろっとした大きめピクルスの酸味とのハーモニーが素晴らしすぎる!!

大人気!写真映えもするレトロな『プリン』

そしてデザートにおすすめなのがこちらの『シヤチルのプリン』(クリームトッピング)。
レトロを体現したルックスでSNS映えも抜群だ。

かなり固めの仕上がりとなっており、スプーンを通したときの弾力がものすごい!
カラメルは濃厚でビターさが際立つが、トッピングのホイップと一緒に食べることで少し甘めに中和される。
ボリュームも満点で大人のプリンといえそう。

名古屋喫茶の可能性を拡げていくお店

昼はがっつりなサンドイッチやカレーでランチ。
おやつの時間帯はあんバタサンドやプリンでひとやすみ。
夜はアルコールとともに一品料理または「ナイトナポリタン」などのメニューで夜カフェならぬ夜喫茶が楽しめるというシーンを選ばないお店。

客層は比較的若めの年代の男女が多いが、普段喫茶店を利用しているようなおっさんが行っても問題なかろう。
安心してほしい。私自身がおっさんなのだから、身をもって証明済みだ。
ただし席では喫煙は出来ないようなので、喫煙したい人は他の店に行ったほうが良さげ。

喫茶店文化への多大なるリスペクトを、現代のおしゃれ感と融合させうまく昇華していると感じた。
「グランド」という言葉を辞書で引くと「壮大な」という意味が出てくるが、
「グランド喫茶」という言葉には喫茶店文化の壮大な可能性を引き出していく、という意味があるのかもしれないと勝手に解釈した。
今後も名古屋の新しいカルチャーを生み出す場所として発展していってほしい、と勝手に願うばかりである。

 

※メニューや価格等の情報は2018年7月時点のものであり、変更となる場合があります。

MAP

場所 名古屋市千種区今池1-5-9 オフィスイリヤビル1F
オープン日 2018年5月15日(火)
営業時間 <平日>11:30〜22:00
<土日>9:00〜22:00
定休日 月曜日
公式サイト シヤチル(公式サイト)
シヤチル(facebookページ)

シヤチル(Instagram)