宮本武蔵の伝説が残る八百津町の五宝の滝が絶景すぎた

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「男の子で歴史好きなら織田信長、宮本武蔵、坂本龍馬でしょ?」と歴史好きの友人が言っていた。たしかに織田信長は好きだ。特に信長が上洛する前の青年時代に尾張や美濃で暴れまわっていた史実が好きだ。桶狭間の戦いは今でも伝説として語られる。信長の出身地じゃない岐阜には黄金に輝く像が立っている。

坂本龍馬は幕末の英雄だ。その破天荒な生き方に共感が持てる。謎の多い亡くなり方にも歴史のロマンを感じ、今の日本の礎になったとよくTVなどに取り上げられるが、竜馬は生きたいように生きて駆け抜けた、筆者なりにそこに憧れる。

宮本武蔵はどうか?と問われると、始めに思いつくのは井上雄彦先生の「バガボンド」だ。少年宮本武蔵(たけぞう)から武蔵(むさし)となり、その生涯をリアルに書き記している名作だ。早く連載が再開されることを切に願う。

東海地方の岐阜県八百津町には宮本武蔵が若かりし頃に修行したという滝があるのをご存知だろうか?この滝がもう、というよりもう……あとは本文読んでくれ。(※本編の写真の殆どは縦画像になっていますスマートフォンでの閲覧推奨)

岐阜県八百津町へ行こう!

岐阜県八百津町、中山道の宿場町「御嶽宿」から山間へ10kmほど入った小さな町だ。名産品は八百津せんべい、へぼ(蜂の子)、ジビエ料理を出している旅館もある。山間の小さな町なのだが江戸時代には木曽川を流れて来る木材の集積地であり、水上交通の要所だったことはあまり知られていない。木曽川沿いの重要な場所には尾張藩の奉行所が置かれていて、貯木場のあった八百津、兼山にも尾張藩の奉行所が置かれていたと歴史書には記されている。

木材の集積場だったとされる場所は今ではダム湖の底、切り立った天然の渓谷は地層好きにはたまらない景観を醸している。ダムファンには馴染みの深い場所のようで、ダムカードの配布もあるので一度訪れてみてはいかがだろうか?

名古屋から少し遠く感じる八百津町も東海北陸自動車道のお陰で車で向かえば1時間半ほどでたどり着く。濃尾平野から少し離れた山間の高原なので夏でもちょっと涼しいこともあまり知られていない。何より民家も少ない地区は星空が綺麗だ。名古屋から日帰りのちょっとドライブに赴くには最適な場所と言える。

五宝の滝、侮るべからず

五宝の滝へ向かう途中、木彫りの龍が迎えてくれる、これだけでも不思議な空間だ。

八百津町には五宝の滝がある。実はかなり以前から知っていたのだ、なにせ筆者の地元なので、何かしらの観光地っぽい所はチェックしていたのだが、どうにも足が向かなかった。しかし聞けばこの滝、侮れないほどの絶景であるという。

ここまではきれいに山道が整備されている

正直、五宝の滝へ向かうには初見では結構迷う。八百津町はとても広く、一本道を違えてしまうと、目的地ではないところへ出てしまうからだ。八百津町は木曽川沿いの中心地に加え、山の上にある集落「久田見地区」がある。伝承によると平家の落人がここを切り開いたと聞く。歴史好き、特に源平合戦の歴史好きにはたまらないだろう、あちこちの寺社にその遺構が残されている。また、地区の祭りは京都の祇園祭によく似ている。これは地元の人の話からだが、平家の落人が京の都を懐かしんでせめて祭りは似せようと始めたそうだ。

車で向かうことに限られてしまうのだが、五宝の滝へは東海北陸道「可児・御嵩IC」から車で20分ほど、八百津町の中心街までは一本道なので迷うことはない。が、中心街から五宝の滝への道順は少々複雑だ。もし可能であれば、スマートフォンでグーグルマップを開き「五宝の滝」を検索して走ってほしい。

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五宝の滝の麓には駐車場が完備されていて、20台ほど停めることができる。

休日にもなればすぐに満車になってしまう小さな駐車場だが、綺麗なトイレも完備されているし、小川沿いの公園も整備されているのでお弁当を持参してピクニックに来ても面白い。近くにはキャンプ場もあるようだ。駐車場は公共の駐車場になるのでなんと無料、ちょっと森林浴に来た家族連れでいっぱいだった。

駐車場から五宝の滝まで歩くことになるのだが、絶対にサンダルやヒールでは来ない方がいい。整備されていても滝の近くを歩けるように整えてあるだけなので、スニーカーかできればトレッキング用のシューズがベストだ。

行き先看板に沿って森の中を10分ほど歩くと三の滝が眼前に現れる。

滝の下まで行ける、と表現したほうが正解だろう。滝行ができるほどまで近づけるのには正直驚いた。

さて、緩やかで整備されている道はここまで、この先の二の滝、一の滝へ向かうにはちょっと登山となる。(案内では全体15分ほどで回れる、とある)ここまで来たからには登るか、引き返すかの二択になる。体力に自信のない方は引き換えした方がいい、そのくらい険しい道程であった。

頂上付近から望む景色は確かに絶景。眼下に広がるのは滝と森、町の景色ではないのだが森の深さに息を飲む。その景色を写真に…と思ったのだが、そこは登って味わってほしい。晴天を狙って行くと四季折々の森を楽しめる。

また、地殻変動でできたと思われる地層がそのままむき出しになっている箇所が多く、地層好きにはたまらないだろう。岩が隆起した様を手で触れて眺めることができるのは日本中探しても珍しいのではないだろうか。

水が山から落ちてくる、この表現がぴったりだ

山頂から下ると宮本武蔵が修行したという滝にたどり着く。道に沿って歩けばいいので迷うことはないと思う。

5つすべての滝の真下まで行くことができるのは日本各地を探しても珍しいのではないだろうか?滝に打たれる人は流石にいなかったが、真夏でも水が枯れることなく落ちている。森が深いため夏でも間違いなく涼しい。カブトムシやらクワガタやらも探せばいるだろう。川には小さな魚が泳いでいたし、お弁当を持参して森林浴に赴いても楽しい。

ゆかりのお寺も見ごたえあるぞ!

八百津町には宮本武蔵二ゆかりのあるお寺がある。もっとも伝承の残っている大仙寺には宮本武蔵が3日間座禅を組んだとされる岩が残されている。大仙寺は五宝の滝から八百津市街地へ向かう山の麓に位置する。修行したとされる話が真実だったとして、このお寺から滝へ向かったのだろうか?ロマンがある。

二の門の前に宮本武蔵が座禅を組んだとされる平たい岩があるのだが、もしかすると武蔵は和尚を訪ねて断られ、諦めきれずにそこに座して、和尚が根負けするまで待ったのではないだろうか、と想像すると面白い。

宮本武蔵の伝承が残っているとされている寺は、筆者が知っている寺の境内とは少し様子が違っていた。どこかお城感が漂うのだ。

一ノ門から二の門へ向かう境内の道はなぜか直角に曲がっている

それは一の門からくぐり二の門へ向かう参道に見て取れるのだが、本堂まで一本道ではなく回り込むように作られている。まるで侵入者を一旦回り道させるかのような作りなのだ。

また、鐘撞堂から見る景色は八百津町の中心街を一望できるように作られている。考えすぎかもしれないが、禅寺だったことも合わせて戦国時代は僧兵などもいたのではないだろうか?と連想させるのだ。大仙寺は鎌倉時代末期から室町時代の創立であること、周辺にお城があった形跡はなく、それでも町があったのだから、政治的な有力者はいたはずなので禅寺のここが八百津の政治の中心だったのではないだろうか。

ゆかりの寺も散策しここから見る景色が室町時代から変わってなかったとしたら八百津町は非常に情緒の溢れた町だ。過疎だ、限界集落だと言われることもあるが、車さえあれば静かで住みやすい町のひとつ。移住希望がある人は一度訪れてみてはいかがだろうか。

MAP

場所 岐阜県加茂郡八百津町八百津4767-3
アクセス 【お車の場合】
東海環状道「可児御嵩IC」から県道83号線「やおつトンネル」」経由 約25分

 

【公共交通の場合】
名鉄明智駅よりYAOバスで「八百津町ファミリーセンター」下車
やおまる西部に乗り換えて「五宝滝入口」下車 徒歩約20分
※土日はやおまる西部は運行していません。タクシー等をご利用ください。

 

【新太田タクシー 予約番号】
0574-25-2145

料金等 駐車場代など無料
お問合せ先 八百津町観光協会