名古屋随一のカルチャータウン・大須で、今大きな話題を呼んでいるフードがある。
その名も『元祖小倉クリーム唐揚げ』。
思わず耳を疑ってしまう嘘のようなネーミングだが、実物はその嘘が真になったような見た目なのだから恐ろしい。
SNSで火が付き、始めはその物珍しさからシェアされていたものの、そのうち「美味しい」という声まで挙がっているというのだから、名古屋文化というものは本当に珍妙だ。
本企画「ネオ名古屋めし図鑑」始まって以来の衝撃度強のメニューに戦々恐々としてきたが、足をすくませている場合ではない。
名古屋文化のあらゆる側面を伝える担い手として、新たな味に挑戦しないわけにはいかない!と、勢い勇んで戦地に赴いたのであった…。
● 人気唐揚げ専門店『まる芳』からの挑戦状
話題のメニューの提供しているのは、大須・万松寺近くにある唐揚げ専門店「まる芳」。
2013年に名古屋市公認の『新なごやめし総選挙』でグランプリを獲得。
週末ともなると人だかりが出来る、唐揚げ激戦区の大須の中でも屈指の人気店だ。
グランプリ受賞の『元祖味噌から揚げ』をはじめ、女性に人気の「ゆず塩から揚げ」「雪塩から揚げ」などバラエティに富んだメニュー展開が特徴的。
揚げたてで提供される衣がサクッとしていて、中身の鶏肉はプリプリとしながらも柔らかい。
程よい甘辛のタレとのバランスも素晴らしく、人気が出るのも納得の味だ。
しかし、
私はこれを食べにきたわけではないのだ。。。
● 戦慄の「小倉クリームから揚げ」との対峙!!
いよいよ対峙するその瞬間が来た…
「元祖小倉クリームから揚げ」3個入り・420円/6個入り・758(ナゴヤ)円!!
語呂合わせなのはいいが、お得なのかどうなのかはよくわからないっ!!!
店頭には『あなたはこの味に耐えられるか』と書かれたPOPが。
完全に脅しにかかっている…
ひるまずにオーダーしてみると、店員の方に「揚げたてを提供するため3〜5分かかります」と言われた。
これは遠回しにリタイアするなら今のうち的な『3分間待ってやる』的なラピュタ的な意味なのか…
随分と余裕の構えだ…
そして3分後、ついに目の前にヤツが現れた。
思わずカップを持つ手が震えた。。。
おおっ、すでに揚げたての唐揚げの熱でクリームが溶け始めているっ!!
小倉あんと生クリーム、アイスイチゴが完全に唐揚げを覆い隠し、逃げ場をなくしている。
完璧な包囲網だ…
しかしながらこの試合の第一手を考えねばならない。
とりあえずジャブで相手の様子を見た方がいいのか、いっそのこと男らしくまぜまぜして一気に決めた方がいいのか…
しかし、相手のスピードは猛烈に速かった。
もじもじしているうちに、小倉とクリームは完全に同化。第二形態へと進化していたのだ!!
もはや予断を許さない状況。ここは覚悟を決めて、思い切って口に入れた。
一口目の感想は…
『意外と悪くはない』だ。
もっとほとばしるものを舌に受けるのをイメージしていたが、全くそんなことはない。
唐揚げのしょっぱさと小倉クリームの甘さ、そのどちらもが柔らかく譲歩し、空高く昇天しながらまろやかさを醸し出し、新たな食べ物へ進化したかのような印象を受けるのだ。
味を形容するのに適した言葉が見つからない。
完璧に同じではないが、中華のごま団子のようなニュアンスを感じなくもないので、これから初めて食べる方はそのような雰囲気を30%ぐらい連想して挑んでいただくとよろしいかと思う。
しかしながら、このメニューを創り出そうとした発想力にはあらためて感服だ。
「ウニやナマコを最初に食べようと考えた人」と同じレベルの偉大さなのではないだろうか。
これは新たな食文化の黎明かもしれない、などと感慨にふけりながら、完食に至ったのであった。
ちなみにこのメニュー、提供は期間限定ということなので、
チャレンジしたいという方は早めに挑戦されたし。
しかし、あれほど足をガクつかせながら戦いに臨んだにもかかわらず、
意外にもすんなりと喉を通ってしまったことで、若干拍子抜け感が否めない。
ふと、無料のスパイスが目に入った。
これを小倉クリームから揚げにふりかけてみると…
…いや、やめておこう。何かがおかしくなっている。
作る側もチャレンジャーなら、それを食べる側もチャレンジャー。それが名古屋図式。よってこれをネオ名古屋めし図鑑に登録します。
MAP
場所 | 名古屋市中区大須3-20-14 |
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期間 | <営業時間> 平日 :11:30〜19:30 土日祝:10:30〜20:00 ※売り切れ次第終了 |
公式サイト | から揚げ専門店まる芳のブログ |