昭和芸術邂逅録「犬山・モンキーパーク若い太陽(の塔)」

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東海地方には昭和の激動時代を生き抜いた芸術家たちが残した作品が多数残されています。
その芸術作品は令和になった今でも大切にされ、地域の人たちの手によって改修されたり保存され沢山の人を楽しませてくれています。

それらの芸術作品を「昭和芸術邂逅録(しょうわげいじゅつかいこうろく)」と称して不定期にではありますが、紹介していきます。

第一回目は犬山市にある巨大構造物・若い太陽の塔を紹介します。

犬山のモンキーパークには岡本太郎の若い太陽がある!

岡本太郎の作品で最も有名な構造物といえば大阪の太陽の塔ではないでしょうか?

太陽の塔は1970年に大阪で開催された日本万国博覧会のシンボリックな構造物。
平成30年に改修され50年ぶりに内部の展示を再開して話題になりました。

犬山の日本モンキーパークには太陽の塔の前身といわれる「若い太陽」が塔となって来訪者を楽しませています。

若い太陽は大阪の太陽の塔の4つの顔のうち一つの「太陽の顔」で太郎が現在を象徴する顔としてデザインしたものと同じ顔が掲げられています。

若い太陽が犬山に贈られたのは1969年のこと、万博の前年に行われた大阪万博のプレイベントでのお披露目となりました。
ただ、岡本太郎から贈られた作品は塔ではなく若い太陽のオブジェ。
プレイベントのために地元犬山の有志が資金を出し合い今の形になりました。
そしてプレイベント閉幕後、贈られた若い太陽は悲運に見舞われることになります。

若い太陽は野猿公苑にそして…

1969年のプレイベント後はこのヒヒの城に置かれたというが…

万博のプレイベント開催後、若い太陽はモンキーセンターの前身であった野猿公苑のヒヒの城に移築展示されることになります。

しかしヒヒの城には当然ヒヒが居て、この異様な展示物のために睡眠不足に陥るヒヒが続出するという、なんとも言えない事態が発生します。

これに困った野猿公苑の職員は若い太陽を撤去、公苑内にひっそりと置かれてしまいます。
この若い太陽は犬山に贈られたのではなく、犬山市在住の個人に太郎本人から贈られた作品で、受け取った本人が作品があまりにも巨大だからとプレイベント後に野猿公苑に寄付したものだったのです。

受け取った側も野猿公苑にはこれといったオブジェやシンボリックな何かがなかったため、太郎の若い太陽を塔として展示したのだそうです。
実物を見た方ならおわかりでしょうけど、朝起きたらキンピカな巨大オブジェに睨まれてるんだから、人間でもびっくりしますよね。

こうしてしばらくの間、太郎の若い太陽は野猿公苑内でひっそりと再展示の時を待つことになります。

若い太陽の塔、展示再開!

ラインパークから移転され今も犬山を見下ろすように佇んでいる

若い太陽の塔が展示を再開したのは今の日本モンキーパークの前身、ラインパークの移設が決定した1980年のこと。
野猿公苑もモンキーセンターと呼称を変更し、パークに隣接される形になったときのこと。
若い太陽は再び塔として日本モンキーパークに展示されることになります。

しかしモンキーパーク内には他に沢山のアトラクションがあること、子供を中心にした遊園地のため、太郎の若い太陽はいつの間にかそこに立っているだけのオブジェとなり、2003年には老朽化が激しくなったことを理由に若い太陽の塔周辺は閉鎖され、さらに老朽化してしまい、ついには取り壊すか、修繕するかという2択を迫られます。

夕陽を浴びる若い太陽の塔、時々鳥が太陽の塔にとまり羽を休める

2010年には地域住民やパーク来訪者に向けて限定的に公開、この時その存在感が見直され、地域住民または地元企業の有志から資金を集め修繕、岡本太郎生誕100周年に合わせ2011年10月に再び一般公開されるようになりました。

若い太陽の塔は小高い丘の上にある。チェアを持ち込んでここで一日過ごすのもいい

現在展示されている若い太陽の塔は万博のプレイベント開催時と同じ姿です。
大阪万博が1970年のことなので実に50年以上にわたり同じ姿を保ってきたことになります。

現在展示されているパーク内の小高い丘からは犬山市から小牧市を一望できます。
またとても静かなところに佇むので、パークへ遊びに行って、若い太陽の塔のある丘を登り、そこでお弁当を広げて楽しむなんて贅沢な時間も楽しめます。

日本モンキーパークってどんなところ?

コロナウィルスの感染対策は万全。安心して楽しめる

最後に日本モンキーパークのことを少し紹介します。

日本モンキーパークが現在の場所で開演したのは1980年のこと。
前身は木曽川沿いにあったラインパークで、当時は珍しかったジェットコースターや観覧車、メリーゴーランドなど設立当時の設備が今も楽しめる遊園地です。

よく南知多ビーチランドと比べられるのですが、名古屋から車で1時間、電車で30分ほどの近さと猿をモチーフにしたオリジナルのキャラクター、TV番組に出てくる戦隊シリーズのキャラクターショーや過激すぎないアトラクション、夏場になると子供向けの大きなプールが人気で休日には多くの来園者が訪れます。

現在ではコロナ対策を施して、WEBから事前に入場チケットを購入できるようになっていて、入り口で並ぶことなく入ることができます。
一日乗り放題券や催事の参加券などもサイトから購入できるので、若い太陽の塔を眺めがてらお子さんと遊びに行ってみてはいかがでしょう?近場でのんびりと休日を過ごすのもなかなかに楽しいですよ。

また、巨匠・岡本太郎の若い太陽の近くまで行って、その存在感に圧倒されてみてください。
そしてあなたの身近なアートに少し心を傾けてみてはどうでしょう?

最後に若い太陽の塔の縦写真を何枚か載せておきます。著作フリーにしておきますのでスマホの待受やタブレットの壁紙にお使いください。

※写真はすべて筆者撮影、提供の縦写真以外転載不可とさせていただきます。

近くへ寄るとわかるのだが、どの角度から見ても見下されているように感じる。

閉園後、夕陽を一身に浴びる。大阪のそれと比べ若々しく猛々しい

MAP

場所 〒484-0081 愛知県犬山市犬山官林26
営業時間 10:00~16:00(土日のみ営業中)
料金 入園料・大人1300円、子供800円
公式サイト 日本モンキーパーク