2022年11月1日、愛知県長久手市の「愛・地球博記念公園」内に、スタジオジブリ作品の世界観を表現した公園施設「ジブリパーク」が開園。この開園に合わせるように2022年10月29日(土)から12月25日(日)までの約2ヶ月間、栄・愛知県美術館にて『ジブリパークとジブリ展』が開催。
愛知県を代表するスポットの一つになるジブリパークの計画の舞台裏、そしてストーリーを地元愛知の人たちが見る事が出来るまたとない機会です。ジブリパークの知識を深める意味でも是非訪れていただきたいこの展覧会をお伝えいたします!
ジブリパーク誕生の裏側を地元愛知に届ける展示がいっぱい
展覧会開幕を前に報道陣に向け行われたジブリパークの制作現場を指揮する宮崎吾朗監督のトークイベントで「(ジブリパークでは見ることのできない制作過程などの展示から)印象に残っているものは?」という問いかけに
「サツキとメイの家は、2005年の愛・地球博の時に建てさせていただき、ジブリパークのきっかけとなった。そういう意味では出発点です。(中略)もとあった温水プールだった建物を改修したジブリパークの中で一番大きな施設「ジブリの大倉庫」は建物を残しつつジブリの大倉庫へと作り替えていく上で設備面なども含め、最も苦労しました。一度更地にしてしまい、新たに建てる方が楽ではありますが、そうしたくはなかった。」という言葉がありました。
建設コンサルタントとして公園緑地などの計画・設計に携わる経歴を持ち、三鷹の森ジブリ美術館の総合デザインを手掛け、父・宮崎駿監督の構想を具現化する宮崎吾朗監督の言葉に「愛・地球博記念公園」の理念を継承しながらジブリパークは誕生していく思いを改めて感じました。
ジブリパーク誕生の裏側を地元愛知に届ける展示がいっぱい
2022年11月1日(火)にジブリパーク第一期でオープンする「青春の丘」「ジブリの大倉庫」「どんどこ森」の各エリア全体のイメージスケッチや建造物の模型などが多数展示。“森と相談しながらつくっているスタジオジブリの世界を表現した公園”とはどういうものなのか?その思いを展示されたイメージスケッチの資料、建築模型や試作品などから見ることが出来ます。
青春の丘
「青春の丘」では映画「耳をすませば」に出てくる地球屋の内部装飾、ストーリーの中で出てくるバロンとルイーゼの人形をリアルに再現するために素材を試行錯誤した展示などがありました。(ルイーゼは内覧会の時点では地球屋にまだいません。宮崎吾朗監督のお話では「いつがいいか皆さんツイートしてください」との事でした)
ジブリの大倉庫
「ジブリの大倉庫」ではジブリ作品の世界が随所に盛り込まれたジブリパークのメインエリア。エリア全体の模型の他にエリアの象徴ともなっている中央階段のイメージスケッチだけでなく立体的に感じる事が出来るクレイモデルも展示。
各映画作品の展示資料や再現展示もあり、注目なのは映画「千と千尋の神隠し」に登場したにせの館長室の再現展示。ジブリパークでは開いたドアや建物の外から湯婆婆が仕事に没頭する姿を覗き見る形になりますが、ここでは内部のみを再現展示しているので近づいて見たり、真横から見たりといったジブリパークでは見ることが出来ない角度でも楽しむ事が出来ます。
そしてネコバスルームの映画「となりのトトロ」のネコバスは目がボタンになっていたり、1つ1つ柄やカラーが異なる足になったジブリパークのために新たにデザインされたため細かく計画された資料も展示されています。またジブリパークにあるものと同じサイズのネコバスの足も展示されています。
どんどこ森
「どんどこ森」では2005年の愛・地球博で建てられたサツキとメイの家の5分の1サイズのスケール模型やお父さんの書斎テラスに実際に設置されていたパーゴラ(日よけ棚/現在どんどこ森にあるパーゴラは2代目)の部材で再現。宮崎吾朗監督が陣頭指揮を執り、本当に人の住める家として建てられた建物であるだけに地元愛知の三州瓦を用いたトトロの“と”がデザインされた鬼瓦や昭和10年代に建てられた家という設定だが既にその当時の製法のガラスはないため取り壊した古民家から材料を集めたというガラスも本物。それらの部材にもこだわっている点を資料と共に見ることが出来ます。
もののけの里
2023年秋に開園予定の“もののけの里”エリア。公園内の里山づくりを進める区域の隣につくられる映画『もののけ姫』の世界をイメージした里の中には製鉄民の集落「タタラ場」をモチーフにした建物が出来ます。会場ではその「タタラ場」の模型も展示。ちなみにこの建物の中では陶芸などの体験学習施設として活用される予定で、その他にも炭焼き小屋を作ったりと自然と共に暮らす人々の生活を学びながら作品を深く楽しめるエリアとなるそうです。
魔女の谷
2024年3月に開園予定の“魔女の谷”エリア。映画『魔女の宅急便』の「オキノ邸」や「グーチョキパン屋」、映画『ハウルの動く城』の「ハッター帽子店」や「ハウルの城」、映画『アーヤと魔女』の「魔女の家」など、魔女が登場するスタジオジブリ作品の建物が再現されるエリアとなります。
魔女の谷エリアでも注目なのが全高約20メートルにもなる「ハウルの城」。50分の1サイズで作られた模型は設計図をもとに最初に制作された通称「初号機」からチェックバック資料をもとに細かいパーツの追加や内装を踏まえて建物のサイズ修正が順次行われ「2号機」「3号機」と変化していく様子や原寸サイズの前脚の展示を見ることが出来ます。また内部構造や骨組みなどを検証する「構造模型」や現地の地形から建物に対する風の影響を計測し安全性を確認するための「風洞実験用模型」など完成した「ハウルの城」を見るだけではわからない部分も見る事が出来ます。
はじまりとなった三鷹の森ジブリ美術館の資料展示や「アーヤと魔女展」の再現展示も楽しめる
2001年に開館した「三鷹の森ジブリ美術館」。1990年代後半にジブリ美術館構想が本格化する中でプロデューサーの鈴木敏夫(愛知県名古屋市出身)が「宮崎駿がイメージする理想の美術館を実現出来るのは息子である宮崎吾朗以外いない」と考え白羽の矢を立てたのが事のはじまり。
宮崎駿が考え描いた「こういうものをつくりたい」というイメージを宮崎吾朗監督が具現化していくまでの資料の数々やジブリ美術館のあり方を書き出したメモなど滅多にお目にかかれない展示もあります。
ジブリ美術館の初代館長を4年近く務めた後、アニメーション映画監督という新たな道を歩み始めた宮崎吾朗監督。会場では初代監督作品 映画『ゲド戦記』、第2作目の映画『コクリコ坂から』の宮崎吾朗監督、美術スタッフに加えゲド戦記の原案やコクリコ坂からの企画・脚本に携わった宮崎駿さんが描いたイメージボードが多数展示されています。
また映画『コクリコ坂から』のキャラクターデザインを担当した近藤勝也氏のキャラクタースケッチも展示。主人公・小松崎海や風間俊の表情が描かれたイラストからまるで二人の声が聞こえてきそうです。
スタジオジブリ初の3DCG作品となったテレビ・映画「アーヤと魔女」。このアーヤと魔女の公開を記念して2021年6月から翌年5月まで三鷹の森ジブリ美術館で開催された展覧会『アーヤと魔女展』の再現展示では2D作品と3D作品の作業の違いを図解で説明した資料や宮崎吾朗監督の実際の作業場を再現した展示といった「2Dのセルアニメーションと3DCGアニメーションの作り方の違いって何?」といった素朴な疑問に答えてもらえるようなわかりやすい展示となっています。
宮崎吾朗監督の作業机には実際の作業現場をリアルに再現した道具も並び、ふと目を上にやると愛知県豊明市に本社を構える寿がきやのカップSUGAKIYAラーメン、静岡県静岡市に本社を構えるいなば食品の缶詰カレーがさりげなく置かれていました。スガキヤのカップ麺はちょうどジブリパークの計画と同時進行だったので愛知で食べていたそうです。そしていなば食品の缶詰カレーは宮崎吾朗監督がお気に入りで「チキンとインドカレー」がベストだそうです。
3DCGでは顔のパーツひとつひとつを操作する事も出来るようになるのですが、アニメーターの個性や技量によって作られたアーヤの表情は大きく違ってくる事を比較する展示がありました。実際にタッチパネルで操作する事もできるので笑った顔や怒った顔など皆さんも表情をつけてみる体験が出来ますよ。
少し暗くなった通路では内照式パネルを使ってアーヤと魔女の世界の世界を実際の目で感じる事が出来ます。細部に渡る表現だけでなく、鮮やかな色に思わず立ち止まってうっとり見てしまいたくなります。
ネコバスやカオナシと一緒にハイポーズ!
この展覧会では大人も子どもも乗ることが出来る映画『となりのトトロ』のネコバス(行き先はあいち!)、映画『千と千尋の神隠し』のカオナシなどジブリの世界に入って一緒に写真を撮る事が出来るスポットも用意されています。ジブリパークでも注目が集まるこの人気スポットの気分をこの展覧会でも体験出来ます。
ちなみに先に紹介した展示会の中では湯婆婆のいる「にせの館長室」、5分の1サイズの「サツキとメイの家」、原寸再現展示の「サツキとメイの家のパーゴラ」での撮影が出来ます。また美術館の外にもスペシャルフォトスポットを予定しているとの事。(※混雑状況によりフォトスポットは変更になる場合がございます)
グッズは展覧会限定グッズだけでなく愛知展限定やジブリ美術館グッズなど多数販売
展覧会のお帰りにはグッズ売場へのお立ち寄りもお忘れなく。
ジブリパークとジブリ展の展覧会限定グッズをはじめ、モーニングの文化をデザインに落とし込んだ愛知展限定グッズも販売。
愛知展限定グッズだけ一覧でご紹介します。
・ピンズ/880円
・手ぬぐい/1,100円
・帽子/3,740円
・Tシャツ/各サイズ 4,620円
思わず欲しくなってしまうグッズが沢山あって「買いきれない!」という方は来場者だけが知ることが出来る来場者限定パスコードでオンラインショップでのお買い物も可能です。詳しくは会場スタッフさんへ。
チケットは日時指定の予約チケットになりますのでお買い求めはお早めに
ジブリパークの資料展示やアーヤと魔女展の再現展示は展示数も多く見どころたっぷり。写真での紹介はごくごく一部にさせていただきました。他の展示は皆さんの目で見てイラストの細部まで描かれた線、メッセージに込められた思いを感じてください。
チケットはBoo-Wooチケットでのオンライン予約、ローソンまたはミニストップにて日時指定で予約販売されています。価格は平日が一般1,700円・高大生1,100円・小中生600円、土日祝が一般1,900円・高大生1,300円・小中生800円となります。
混雑緩和のためチケットの予約販売期間は2期に分かれており11月25日(金)までの第1期は既に販売中、11月26日(土)からの第2期は11月1日(火)より販売開始となりますが長野では15万人が来場した人気の展覧会。日時指定券に残部があれば当日券の販売(価格は土日祝日価格と同一、支払いは現金のみ、当日券の販売状況は愛知県美術館混雑状況Twitterにて)もあるとの事ですが人気の曜日や時間帯は入手困難となるかもしれませんのでチケットのご予約はお早めに。
またジブリパークへの予習にはこちらの記事もどうぞ
© Studio Ghibli , © Museo d’Arte Ghibli
MAP
場所 | 名古屋市東区東桜1丁目13−2 |
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期間 | 2022年10月29日(土)〜12月25日(日) 10時〜18時(金曜は20時まで) ※入場は閉館1時間前まで |
休館日 | 月曜日 |
料金 | 平日/一般1,700円・高大生1,100円・小中生600円 土日祝/一般1,900円・高大生1,300円・小中生800円 ※残部があれば当日券も販売(価格は土日祝価格と同一) |
公式サイト | ジブリパークとジブリ展 公式サイト ジブリパークとジブリ展 愛知会場特設サイト ジブリパークとジブリ展 公式Twitter スタジオジブリ 公式Instagram |