犬山の日本モンキーセンターがユニクロでTシャツを作った理由

日本モンキーセンターとは？

日本モンキーセンターとは愛知県犬山市にある霊長類（猿の仲間）だけの動物園。博物館として登録している日本でも珍しい公益財団法人が運営する動物園であり、登録博物館にもなっています。開園は1956年、動物園として日本で二番目の登録博物館なのです。他の多くの動物園は市営や県営で、博物館として運営されている動物園はここ日本モンキーセンターだけ。50年以上の歴史も積み重ねていて、世界からも注目の霊長類動物園なのです。

日本モンキーセンターはイベントいっぱい！

日本モンキーセンターは年中を通して楽しいイベントが盛りだくさん！平日、土日かかわらずスポットガイドを受けることができます。お目当てのお猿さんをゆっくり眺めているとスタッフとお話できたりします。

土日になると飼育員と一緒にお猿さんのおやつを作ったりと体験できるイベントも開催中。特にお猿さんのおやつ作りは大人気で飼育員の体験が出来ると子供から大人まで楽しめてしまうのです。（有料・受付はビジターセンターまで）

実はモンキーセンターには霊長類以外に動物を飼育している施設「KIDSZOO」があり、ヤギやリクガメ、トカゲなどを展示しています。ここでは実際に触れたり、餌やり体験ができます。KIZSZOO内には飼育員がDIYで作ったツリーハウスがあり、ビジターセンターで受付をすませば登って園内の景色を一望でき、さながら猿になった気分が味わえます。（有料；受付はビジターセンターまで）

日本モンキーセンターがTシャツをつくった！

モンキーセンターのTwitterアカウントのあるつぶやき…

貧乏なモンキーセンターは被服費を被服を売って稼ぐことになりました。
飼育スタッフが描いた、このダサいTシャツが500枚売れればスタッフ全員のTシャツを買い換えられます。さすがに無理だと思ってます。
ユニクロのUTme!で販売中です。#オリジナルTシャツ #ユニクロ https://t.co/xdjDm1eOuU

— 日本モンキーセンター（公式） (@j_monkeycentre) June 10, 2019

これがきっかけでリツイートは1.4万回以上、いいねに至っては1.2万以上といわゆるバズを起こします。6月10日につぶやかれたこの内容が拡がりまくり、在京キーTV局のフジテレビまで動かし、ユニクロのUTme!サイトではなんと売上枚数No.1！（2019年7月17日現在）。「このダサいTシャツが売れればスタッフ全員のTシャツを買い換えられます」と言った通り、全員分のTシャツが新調できるだけの枚数が売れたとか？

ではこのTシャツを作った背景、気になりますよね？また、続きはあるのかとも。アカウントの中の人にお話を聞けました。

Tシャツを作ったきっかけは？

今回お話を伺ったのは飼育技術員の阿野隆平さん。

今回のユニクロUTme!シャツのデザインも阿野さんが手がけた作品です。霊長類の特徴をきちんと捉えてコミカルながらも表情豊かに表現されています。

このTシャツを作ったきっかけは、実はTwitterアカウントのフォロワーさんが1万人を超えたことから。2018年6月時点で800人ほどのフォロワーさんだったのが1年足らずで1万人を超えて、記念のマグカップを園内で販売したことがきっかけだそうです。

しかし園内でしか購入できないため、遠方のお客様からグッズの通信販売を求めるコメントが寄せられなんとか対応できないか考えていたところ、デザインを入稿するとTシャツを販売してくれるサービスを知り、このTシャツを企画したのだとか。

Tシャツのデザインのままトートバックやパーカーにもプリントできて、お値段も2000円～5000円とお買い得。園で在庫を持たなくてもいいという利点を活かして全国にモンキーセンターのアイテムが届いてフォロワーさんに恩返しができたと満足そうでした。

今ではTwitterの効果もありユニクロのUTme!サイト（専用のサイト）では売上枚数No.1になっています（2019年7月現在）。サイト内でパーカーやトートバックを選ぶことが出来るのもいいですね。

 

 

※写真をクリックするとUNIQLOの日本モンキーセンター販売サイトへ移動します。

次に何を作りますか？

次に何を作りますか？と阿野さんに質問をぶつけてみたところ、「次は…どうしましょうね？」とニンマリ。実は集合デザインの他に5点ほど未発表のデザインが控えているとか。

UTme!のTシャツは自由度が高く、お猿さん1匹ずつのデザインもいいんじゃないですか？との声も多いそうです。「とてもありがたい要望なので、答えられるように頑張りたいです」と阿野さんは言います。

実はモンキーセンターとしてモンベルのサイトで違うデザインのTシャツも販売されています。ちょうど2019年のイベント告知動画でスタッフが着ています。

飼育員は、志望者の割に採用数が少なく、地元から遠く離れた地で働く人も少なくありません。モンキーセンターの飼育員も4分の3が県外出身者です。親からのメールへの返事が遅かったりなかなか実家に帰らなかったりするのは、頭の中が担当動物で埋まっているからでしょうか。#母からの手紙？ #甲子猿 pic.twitter.com/axyOipqaVV

— 日本モンキーセンター（公式） (@j_monkeycentre) 2019年6月14日

UT着てモンキーセンターに行くと？

今回のTシャツには阿野さんだけでなく、園内の飼育員さんたちの思いが込められています。そのためモンキーセンターに着て遊びに来てくれたらこれほどうれしいことはないですよ！と阿野さん。

プリントされているお猿さんと見比べてみるのも面白いですよね。

今年も熱い戦いが！「甲子猿」開催決定！

2016年から始まった日本モンキーセンター飼育施設対抗なんでもアピール選手権大会（通称・甲子猿）が今年も開催します。開催日は7/13（土）～。各飼育施設の飼育員が、飼育しているお猿さんはよその施設よりどれだけ優れているか？を来園者に猛烈アピールする大会。今年で3回目を数えて、各飼育施設のアピール動画が前もってみることができます。

また、大会当日は各施設が観客を前にしてプレゼンテーションを行い優劣を競い合います。プレゼン動画はYouTubeで2分ほどにまとめられていてとても親しみやすく観ることができ、普段みることのできない飼育員さんの活躍が垣間見えます。

各施設とも毎年力を入れて動画を作り込んだり、大会当日まで準備をしたりと、モンキーセンター夏の風物詩になりそうなイベント。今年はどこが優勝してどんな公約を果たすのでしょう？

日本モンキーセンターへのアクセス、最寄り駅や駐車場は？

日本モンキーセンターの最寄り駅は「名鉄犬山駅」が最寄り駅です。※写真のモノレールは廃線になりました。

2008年まで名鉄「犬山遊園駅」からモノレールが走っていて、日本モンキーパークと日本モンキーセンターをつなぐ貴重な路線だったのですが、惜しまれつつも廃止になりました。代わりに犬山駅からバスが運行されています。歩いても20分ほど、タクシーだと5分ほどで到着できます。

犬山駅から発着しているバスは「リトルワールド・モンキーパーク行き」の岐阜バス。代金は片道170円（大人）となっています。ただしモンキーパークが閉園の日はバス停にバスが停まらないため、平日に行くのであれば注意が必要です。タクシーで向かっても代金は1～２メーター程なので乗り合いで行くと負担は軽く済みますね。

車で行きたい！駐車場は？

日本モンキーセンターの駐車場は入場門からほど近い場所に200台ほど止めることのできる駐車場を完備しています。モンキーセンターの入場門は少し奥まったところにあるので見つけにくいのですが、駐車場はパークとセンター共通の駐車場になっています。利用料金は一日1000円、園に近い駐車所は土日となると朝から満車になってしまいます。

園近隣には個人の貸駐車場が点在していて、園から少しだけ歩くのですが、一日500～800円とリーズナブルな設定になっています。

日本モンキーセンターはヒトを知る動物園だ

モンキーセンターの機関誌に「サルを知ることはヒトを知ることだ」との記述に筆者自身驚き、気付かされる内容でした。ヒトは霊長類、地球上で最強の生物などではなく、自然のイチ種類だと。近年、地球上のヒト以外の霊長類は密猟や熱帯雨林の減少で減る一方です。

モンキーセンター内には密輸され空港で保護されたスローロリスが飼育されています。人間の身勝手で日本に持ち込まれたのです。本当は温かいジャングルに住むおサルなんですが、ペットとして密輸されてしまうのです。

霊長類の多くは絶滅の危機にあると言います。日本モンキーセンターは犬山市営の動物園ではなく、公益財団法人であり京都大学の研究者が中心となって運営されています。学問を通して「自然の窓」であり社会貢献し続けるために努力されているユニークな動物園です。

モンキーセンター内の飼育員さんは皆さん個性的で、真剣に霊長類と向き合っています。普通の動物園と思うことなかれ、イベントによる体験も、UTme!のTシャツもすべて飼育員さん達の熱いアイディアなのです。名古屋から電車で30分ほど、あなたも一度行ってみてはいかがでしょう？