たまには、名古屋市営バスに乗って、普段行かない所へぶらり旅_
【市バスの車窓から】
今日は、星丘12号系統に乗って、平成最後のバス旅にふさわしい場所に行きます。
星ヶ丘バスターミナルを出発
今日の旅の出発地は、星ヶ丘バスターミナル。
名古屋東部方面へのバスが多数発着する、非常に利用者の多いターミナルです。
そして今回乗るバスは「星丘12系統」。
星ヶ丘から地下鉄植田までを結ぶ路線ですが、主線である「幹星丘2」系統が焼山・植田一本松方面を通るのに対し、「星丘12」は途中から鴻ノ巣・天白高校方面に迂回していく支線的な扱いの系統です。
本数は平日が毎時1〜2本、土日祝は毎時1本となります。
このバス旅企画、パート3(堀田)・パート4(大門)・パート5(大治)とやや観光案内的なノリが立て続いてまいりましたが、基本のコンセプトは冒頭にあるとおり、
なのです。
ですから今回は初心に立ち返り、私個人がこれまでの人生においてゆかりのない場所を行き先に選ぼうと思いました。
そして、
“今まで誰も気づかなかった名古屋”
に出会い、
その空白に肉迫したい。
そしてタイムリーに平成の世が終わろうとしていますから、行くべき場所はここしかありません。
平成橋
星ヶ丘からバスに揺られることおよそ20分弱。
到着したのは「平成橋」。
天白区北部の東端に近い場所にあります。
バス停から北へ歩くと、バス停の名前の由来になった『平成橋』がありました。
名古屋市内で地名/スポット名に「平成」の名前が入る場所は、ここだけではないでしょうか?
『平成元年10月竣功』
の文字。
思えば「明治」「大正」「昭和」に比べ、「平成」の名がつく地名や企業名はなかなか少ない気がします。
平成橋が架かる場所は川の上でも線路の上でもなく、国道153号線の上。
長閑な地を貫く巨大道路という文明。
平成橋という名にはそれさえも象徴されているような印象を受けます。
せっかくなので近隣を散策します。
川沿い/線路沿いならぬ、ガード付きの国道沿いの散歩というのもなかなかに乙です。
ここから見ると青い案内看板も非常にデカく見えます。
桜の回廊
けたたましい国道の雰囲気とは裏腹に、周辺は大変静かで自然豊かな住宅地が広がります。
このあたりの地名は『梅が丘』。
その名のとおり、街のあちらこちらに梅林があります。
あの坂の向こうにも梅が・・・
いや、桜でした。
竹で作られた柵で囲われた遊歩道が設けられています。
絵画の如く美しい光景_
音もなく咲き乱れる桜が、この一帯を何人にも侵されざる桃源郷かのように包み込んでいる、そんな感じがしました。
変電所の戦災跡
南の方角へ歩を進めると、徐々に鉄塔が多く見えてきます。
このあたりからは、天白区を外れ日進市に足を踏み入れかけています。
さらに進むと無数の鉄塔が並ぶ場所が。
ここは『中部電力日進変電所』です。
個人的にはインダストリアルな風景も興味があるのでここも存分に観察したいのですが・・・
今回訪れたかったのは変電所のはずれにあるこの場所・・・
一見すると煙突が横倒しになっているだけのようにみえてしまいますが、
実はこれは『日進変電所防空壕』跡です。
およそ8mのコンクリートで出来た半地下の防空壕。
周囲は柵で囲われ史跡として管理されています。
太平洋戦争下の1942年に、発電所から送られた電気を名古屋の軍需工場へ送電する重要な中継施設であったこの場所を死守する職員の避難場所として作られたとの記載があります。
目立たない場所ながら、この平和な地もかつては空襲に遭っていたということを、現世のわたしたちに語り続けてくれています。
寿荘
平成橋周辺の散策で大分時間が経ったので、次のバスに乗り、3つ先のバス停『寿荘(ことぶきそう)』へ。
バス停の目の前には桜並木が。
このあたり一帯は道路の両側を覆いつくすように桜が立ち並ぶ「桜のトンネル」が有名です。
このあたりでそろそろ腹ごしらえをしましょう。
百年亭
桜のトンネルの道沿いにある、手延とんかつの店『百年亭』に来ました。
このあたりでは超人気店で、ランチタイムの始まりの時間とともに店内に人がなだれ込みます。
今回いただいたのは『盛り合わせ定食』。
名物のとんかつと海老かつが両方いただける人気メニューです。
キャベツがおかわり出来たり、味噌汁が土鍋に入っていたり、ドレッシングが豊富にかけ放題だったり、食後のコーヒーと一緒に机に花を置いてくれたりと・・・味はもちろんですサービスの行き届き具合が素晴らしいです。満足!
ではお腹も満たされたところで、
最後にとても風景の良い場所に行きます。
稲葉山公園
「寿荘」バス停から西へ向かうと、道の先に植物が生い茂った小高い山のようなものが見えてきます。
これが『稲葉山公園』です。
山の周囲にスロープが設けられており、周遊しながら頂上まで登ることができます。
花が咲き乱れています。春。
頂上まで辿り着くと展望台的なものが。
遠くの山に「東山スカイタワー」が見えました。
眼下にはこれまで通ってきた道が。
どんなことがあろうと道は続き、それなりの軌跡を描いていく。
そして令和の世になってもバス旅はつづく。まるでそれそのものが人生であるかのように_